総合評価方式の概要
総合評価方式は、価格だけでなく、技術力や品質、社会貢献度なども含めて総合的に評価し、最も優れた提案を選定する入札方式です。
「安かろう悪かろう」を防ぎ、価格と品質のバランスが取れた調達を実現することを目的としています。
なぜ総合評価方式が導入されたのか
従来の価格競争入札の問題点
- 過度な価格競争による品質低下
- ダンピング受注による下請けへのしわ寄せ
- 技術力のある企業が評価されない
これらの問題を解決するため、平成17年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され、総合評価方式が本格的に導入されました。
評価の仕組み
評価値の算出方法
評価値 = 技術評価点 ÷ 入札価格
最も評価値が高い者が落札者となります。
技術評価点の構成例
- 施工計画(30点)
- 工程管理
- 品質管理
- 安全管理
- 企業の施工能力(20点)
- 同種工事の実績
- 工事成績評定点
- 表彰実績
- 配置予定技術者の能力(20点)
- 保有資格
- 同種工事の経験
- 継続教育(CPD)の取組
- 地域貢献度(30点)
- 災害協定の締結
- ボランティア活動
- 地元雇用
総合評価方式で勝つためのポイント
1. 技術提案書の作成
- 具体性:抽象的な表現を避け、数値や図表を活用
- 独自性:他社との差別化ポイントを明確に
- 実現可能性:裏付けとなる実績や根拠を示す
2. 評価項目への対応
- 事前準備:日頃から実績を積み重ねる
- 証明書類:必要な証明書を整理・保管
- 継続的改善:工事成績評定点の向上
3. プレゼンテーション対策
ヒアリングがある場合:
- 提案内容を簡潔に説明
- 想定質問への準備
- 技術者本人が説明
総合評価方式のメリット・デメリット
メリット
- 技術力が正当に評価される
- 品質の高い成果物が期待できる
- 地域貢献が評価される
デメリット
- 提案書作成の負担が大きい
- 評価基準の理解が必要
- 小規模事業者には不利な面も
対象となる工事
総合評価方式は主に以下の工事で採用されます:
- 技術的難易度の高い工事
- 規模の大きな工事(概ね1億円以上)
- 環境への配慮が必要な工事
まとめ
総合評価方式は、価格競争だけでは評価されなかった企業の技術力や地域貢献を正当に評価する仕組みです。しっかりと準備すれば、中小企業にもチャンスがあります。
日頃から技術力向上と実績の蓄積に努め、総合評価方式に対応できる体制を整えることが重要です。