随意契約の基本
随意契約(ずいいけいやく)とは、地方公共団体が競争入札によらずに、任意に特定の相手方を選定して締結する契約方式です。
原則として公共調達は競争入札によることとされていますが、一定の条件を満たす場合に限り、例外的に随意契約が認められています。
法的根拠
随意契約の根拠は以下の法令に定められています:
- 地方自治法第234条第2項
- 地方自治法施行令第167条の2
これらの法令により、随意契約ができる場合が限定的に列挙されています。
随意契約が認められる場合
1. 少額随契(1号随契)
予定価格が少額の場合:
- 工事:130万円以下
- 物品購入:80万円以下
- 委託:50万円以下
2. 競争入札に適さない場合(2号随契)
- 特殊な技術を要する場合
- 秘密の保持が必要な場合
- 文化財の修復など
3. 緊急の必要がある場合(5号随契)
- 災害時の応急工事
- 緊急の修繕
4. 競争入札が不利な場合(6号随契)
- 現在の契約者以外では著しく不利になる場合
随意契約のメリット
- 手続きの簡素化
- 入札公告や入札期間が不要
- 迅速な契約締結が可能
- 確実な品質確保
- 信頼できる業者を選定可能
- 過去の実績を考慮できる
- 柔軟な対応
- 仕様の詳細を協議しながら決定可能
随意契約のデメリット
- 透明性の課題
- 業者選定の理由が不明確になりやすい
- 癒着の疑念を持たれる可能性
- 競争性の欠如
- 価格競争が働かない
- コスト高になる可能性
- 説明責任
- なぜその業者なのか、説明が必要
適切な随意契約のために
1. 理由の明確化
随意契約を選択する理由を明確に文書化し、どの号に該当するかを明示することが重要です。
2. 見積もり合わせ
少額随契の場合でも、複数者から見積もりを取ることで、価格の妥当性を確保できます。
3. 情報公開
契約結果を公表し、透明性を確保することが求められます。
実務上の注意点
よくある誤解
「前年度も随意契約だったから」という理由だけでは、随意契約は認められません。毎回、法令の要件を満たしているか確認が必要です。
分割発注の禁止
本来なら入札となる金額を、意図的に分割して少額随契とすることは違法です。
まとめ
随意契約は便利な契約方式ですが、あくまで例外的な手法です。適用にあたっては法令の要件を十分に確認し、透明性を確保しながら適切に運用することが大切です。
次回は「効果的な見積もり合わせの実施方法」について解説します。