電子入札システムとは
電子入札システムは、従来の紙ベースの入札手続きをインターネット上で行えるようにしたシステムです。日本では政府・各省庁・地方自治体がそれぞれ電子入札システムを運用しており、2024年1月には政府電子調達システム(GEPS)が調達ポータルに統合されるなど、システムの整備が進んでいます。
主要な電子入札システム
1. 政府電子調達システム(GEPS)・調達ポータル
2024年1月4日より、GEPSは「調達ポータル」に統合されました。政府の統一的な電子調達の窓口として機能しています。
- URL: https://www.p-portal.go.jp/
- 特徴: 調達情報の通知、契約結果情報のダウンロードが可能
2. 国土交通省電子入札システム
- URL: https://www.e-bisc.go.jp/
- 利用時間: 8:30〜18:00(土日祝日、年末年始12/29〜1/3を除く)
- 特徴: 建設工事・建設コンサルタント業務等の入札に使用
3. 文部科学省電子入札システム
- URL: https://portal.ebid03.mext.go.jp/
- 特徴: 教育・研究関連の調達案件
4. 地方自治体の電子入札システム
各都道府県・市町村が独自または共同で運営。電子入札コアシステムを採用している自治体が多い。
電子入札のメリット
1. コスト削減
- 交通費、郵送費が不要
- 書類作成の手間を削減
- 人件費の削減
2. 業務効率化
- オンラインで24時間手続き可能(ただし、システムごとに利用可能時間の制限あり)
- 入札結果の即時確認
- 書類の電子化による管理効率向上
3. 透明性の向上
- すべての手続きが記録される
- 談合等の不正行為を防止
- 公平な競争環境の実現
必要な準備
1. ICカード(電子証明書)の取得
電子入札コアシステム対応認証局(2024年12月現在)
- NTTビジネスソリューションズ株式会社
- サービス名:e-ProbatioPS2
- TEL:0120-851-240
- URL:https://www.e-probatio.com/
- 三菱電機デジタルイノベーション株式会社(旧:三菱電機インフォメーションネットワーク)
- サービス名:DIACERT-PLUSサービス
- TEL:03-6771-5108
- URL:http://www.diacert.jp/plus/
- 株式会社帝国データバンク(TDB)
- サービス名:TDB電子認証サービスTypeA
- TEL:0570-011999
- URL:https://www.tdb.co.jp/typeA/
- TOiNX株式会社
- サービス名:TOiNX電子入札対応認証サービス
- TEL:022-799-5566
- URL:https://www.toinx.net/ebs/info.html
- 日本電子認証株式会社
- サービス名:AOSignサービス、法人認証カードサービス
- TEL:0120-714-240(AOSign)、0120-820-240(法人認証)
- URL:https://www.ninsho.co.jp/
- 電子認証登記所
- サービス名:法人認証カードサービス
- 各地方法務局で取り扱い
費用: 年額1〜2万円程度(有効期間1〜3年から選択可能) 申請期間: 10〜14日程度 注意: 一度発行されたICカードの登録情報(氏名、住所、組織名等)は変更不可。変更が必要な場合は新規発行が必要。
2. パソコン環境の準備(2024年12月時点)
- OS:
- Windows 10 Pro/Home Ver.22H2(32bit、64bit)
- Windows 11 Pro/Home Ver.24H2(64bit)
- ブラウザ: Microsoft Edge(IEモード使用)
- 電子入札補助アプリ: 各システムで提供される専用アプリのインストールが必要
3. ICカードリーダーの準備
- 接触型ICカードリーダー
- 価格:約1万円程度
- 認証局推奨の機種を選択することを推奨
初期費用の目安
- ICカード発行費用:年額1~2万円
- ICカードリーダー:約1万円(初回のみ)
- 初期費用合計:約2~3万円
電子入札システムの利用手順
ステップ1:利用者登録
- 各機関の電子入札システムにアクセス
- トップページから「電子入札システム 入口」をクリック
- 「利用者登録/電子入札」選択画面で「利用者登録」を選択(この時点で調達機関の選択は不要)
- ICカードを挿入し、以下の情報を入力:
- 役職:ICカード名義人の役職
- 部署名以下:電子入札担当者の情報
- 連絡用メールアドレス(半角英数字のみ使用)
- 登録完了後、「ダウンロード文書一覧表示」画面を表示して変更を反映
注意: 一度登録すれば年度が変わっても再登録は不要。登録データはシステムに保持されます。
ステップ2:案件検索
- システムにログイン(ICカード挿入・PIN番号入力)
- 「調達案件検索」から条件を指定
- 参加したい案件を選択
- 入札説明書等をダウンロード
ステップ3:入札書の提出
- 入札金額を入力
- 必要書類を添付(注意事項は下記参照)
- 内容を確認し、「提出」ボタンをクリック
- 受信確認通知を必ず保存
ステップ4:開札・結果確認
- 開札日時にシステムにログイン
- 「入札結果」を確認
- 落札した場合は契約手続きへ
よくあるトラブルと対処法【2024年最新版】
Q1. ICカードが認識されない
エラー例: 「挿入されているICカードは利用者登録の操作が未実施です」
対処法:
- ICカードリーダーへの挿入を確認(逆さまに挿入していないか)
- ICカードリーダーのドライバを再インストール
- 電子入札補助アプリがインストール・起動されているか確認
- 利用者登録が完了しているか確認
Q2. ログインできない
エラー例:
- 「ログインに失敗しました」
- 「APPLETCRITICAL〇〇〇〇〇〇〇〇-03002ログインに失敗しました」
対処法:
- PIN番号の入力ミスを確認(連続して間違えるとICカードがロックされる)
- ICカードの有効期限を確認
- 電子入札補助アプリの最新バージョン(Ver1.1.0以上)を確認
- Microsoft Edgeの設定を確認:
- ポップアップブロックの解除
- 許可URLリストへの登録(末尾の「/」等は削除)
- キャッシュのクリア
- 使用しているブラウザが電子入札稼働環境であることを確認
Q3. 添付ファイルのエラー
エラー例: 「APP-ERROR-(数字-10021) 指定された添付資料の読込に失敗しました」
対処法:
- ファイル名・フォルダ名は半角英数字のみ使用(日本語や記号は避ける)
- 添付可能な拡張子:.docx、.xlsx、.pptx のみ
- ファイルサイズの上限を確認(システムにより異なる)
- ファイルパスに日本語が含まれていないか確認
Q4. セッションタイムアウト
症状: 「最後の通信から1時間以上経過しました」というメッセージ
対処法:
- ブラウザを再起動後、再度ログイン
- 長時間の作業時は定期的に保存
- 入札書作成は時間に余裕を持って行う
Q5. 予期せぬエラー
対処法:
- まず電子入札補助アプリが起動しているか確認
- ブラウザのポップアップブロックを解除
- セキュリティソフトの設定を確認
- それでも解決しない場合は、エラー内容と発生状況を記録し、認証局またはヘルプデスクに問い合わせ
押さえておきたいポイント
1. 時間に余裕を持つ
- システムトラブルに備え、締切の1日前には送信を完了
- システム利用可能時間を事前に確認(国交省は8:30〜18:00)
- セッションタイムアウト(1時間)に注意
2. テスト環境で練習
多くのシステムには練習用の環境があります。本番前に必ず操作を確認しましょう。
- 各システムの操作マニュアルをダウンロード
- 電子入札補助アプリの動作確認
- ICカードとPIN番号の動作テスト
3. 重要な確認事項
- ICカードの有効期限:期限切れ前に更新手続きを
- PIN番号の管理:連続入力ミスでロックされるため慎重に
- ファイル名規則:半角英数字のみ使用
- 添付ファイル形式:.docx、.xlsx、.pptx のみ対応
4. サポート窓口の活用
困ったときの連絡先:
- 認証局のヘルプデスク:ICカード・証明書関連
- 各システムのヘルプデスク:システム操作・エラー対応
- 操作マニュアル:各システムサイトからダウンロード可能
システム別の特徴と注意点
国土交通省電子入札システム
- 建設工事・建設コンサルタント業務が中心
- 利用者登録マニュアルが充実
- FAQが詳細で初心者にも分かりやすい
政府電子調達(GEPS)・調達ポータル
- 2024年1月に統合されたため、旧GEPSユーザーは移行手続きに注意
- 政府全体の調達情報を一元管理
- 各省庁の入札情報を横断的に検索可能
地方自治体システム
- 電子入札コアシステム採用自治体が多い
- 自治体により細かい仕様が異なる
- 事前に各自治体の要領を確認必須
まとめ
電子入札システムは、2024年現在も進化を続けています。GEPSの調達ポータルへの統合など、より使いやすいシステムへの改善が進んでいます。
成功のカギは:
- 事前準備の徹底(ICカード取得、環境設定)
- システムごとの特性理解(利用時間、操作方法)
- トラブル対処法の把握(よくあるエラーと解決策)
初めは戸惑うかもしれませんが、一度習得すれば業務効率が大幅に向上します。まずはICカードの取得から始め、各システムの練習環境で操作に慣れることをお勧めします。
電子入札に関するご質問やお困りの点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。