電子入札システムとは
電子入札システムは、従来の紙ベースの入札手続きをインターネット上で行えるようにしたシステムです。現在、国や地方自治体では複数の電子入札システムが運用されています。
本記事では、公的機関の公式情報を基に、主要な電子入札システムの使い方を解説します。
主要な電子入札システム
1. 国土交通省電子入札システム(e-BISC)
公式サイト: https://www.e-bisc.go.jp/
国土交通省が運営する電子入札システムで、同省発注の工事・業務等の入札に使用されます。
システム利用時間(出典:国土交通省電子入札システム)
- 平日 8:30~18:00
- 土日祝日、年末年始(12/29~1/3)は利用不可
- ヘルプデスク:9:00~17:00(TEL: 03-6633-7118)
2. 政府電子調達システム(GEPS)
公式サイト: https://www.p-portal.go.jp/
中央省庁等の調達案件を一元的に扱うシステムです。調達情報の検索から入札参加まで、ワンストップで対応できます。

電子入札の事前準備
必要な機器・環境
国土交通省電子入札システムの利用ガイド(出典)によると、以下の準備が必要です:
- パソコン環境の確認
- 対応OS:Windows 10/11
- 対応ブラウザ:Internet Explorer 11、Microsoft Edge(IEモード)
- インターネット環境(安定した接続)
- ICカードリーダライタ
- 電子証明書が格納されたICカードを読み取るための機器
- 各認証局推奨の機種を使用
- 電子証明書(ICカード)の取得
- 民間認証局から購入(有効期間は通常1~5年)
- 代表者または受任者名義で取得
- 費用:年間2~5万円程度(認証局により異なる)
主要な認証局一覧
政府認定の電子認証局(一部抜粋):
- 帝国データバンク(TDB電子認証サービス)
- 東京商工リサーチ(TSR電子認証サービス)
- 日本電子認証(AOSignサービス)
- 三菱電機インフォメーションネットワーク(DIACERT)

システム利用開始の手順
国土交通省電子入札システム(e-BISC)の場合
- 電子入札補助アプリのインストール
- 公式サイトから最新版をダウンロード
- 管理者権限でインストール実行
- ブラウザの設定
- 信頼済みサイトへの登録
- ポップアップブロックの解除
- JavaScriptの有効化
- 利用者登録
- ICカードを使用してシステムにログイン
- 企業情報・利用者情報を登録
- 登録完了後、即日利用可能
政府電子調達システム(GEPS)の場合
調達ポータルの操作マニュアルによると:
- 調達ポータルでのアカウント作成
- 基本情報の入力
- メールアドレスの認証
- 資格審査申請
- 全省庁統一資格の申請
- 必要書類のアップロード
- 電子証明書の登録
- ICカード情報の紐付け
- テスト環境での動作確認
実際の入札手続きの流れ
1. 調達情報の検索
検索方法:
- 案件名、発注機関、業種などで絞り込み
- 公告日、入札日などの期間指定
- 地域や予定価格での検索も可能
2. 入札説明書のダウンロード
- 電子入札システムから直接ダウンロード
- パスワードが設定されている場合あり
- ダウンロード期限に注意
3. 質問書の提出(必要に応じて)
- システム上から質問書を送信
- 回答は全参加者に公開される場合が多い
4. 入札書の作成・提出
重要なポイント(出典:各システムの操作マニュアル):
- 入札金額は税抜きで入力
- 内訳書の添付が必要な場合あり
- 提出期限厳守(1秒でも遅れると無効)
- 一度提出すると取り消し・修正不可
5. 開札・結果確認
- 開札日時にシステムで自動開札
- 結果は即座に確認可能
- 落札者決定通知書の受領
トラブルシューティング
よくあるトラブルと対処法
国土交通省電子入札システムFAQ(出典)より:
- ログインできない
- ICカードリーダの接続確認
- ドライバの更新
- PIN番号の確認(連続失敗でロック)
- 画面が正しく表示されない
- ブラウザの互換表示設定
- キャッシュのクリア
- セキュリティソフトの一時無効化
- ファイルがアップロードできない
- ファイルサイズの確認(通常3MB以内)
- ファイル名に日本語・特殊文字を使用しない
- 圧縮形式の確認(ZIP推奨)
電子入札のメリット・デメリット
メリット
- 移動時間・コストの削減
- 24時間いつでも入札書類の確認が可能
- 入札の透明性向上
- ペーパーレス化による環境負荷軽減
デメリット
- 初期投資が必要(ICカード、カードリーダ等)
- システムトラブルのリスク
- 操作に慣れるまでの学習コスト
- 高齢者等のデジタルデバイド

地方自治体の電子入札システム
多くの都道府県・政令市では独自の電子入札システムを運用しています。代表的なものは:
- 東京都:東京都電子調達システム
- 大阪府:大阪府電子調達システム
- 神奈川県:かながわ電子入札共同システム
基本的な操作は国のシステムと類似していますが、細かい仕様は異なるため、各自治体の操作マニュアルを確認することが重要です。
まとめ
電子入札システムの導入により、入札手続きの効率化と透明性が大幅に向上しました。初期準備には時間とコストがかかりますが、長期的には大きなメリットがあります。
導入の第一歩:
- 参加したい入札の発注機関を確認
- 該当する電子入札システムを特定
- ICカード等の必要機器を準備
- システムへの利用者登録
各システムの公式サイトには詳細なマニュアルが用意されています。不明な点は各システムのヘルプデスクを活用しながら、着実に準備を進めていきましょう。
参考資料
※本記事は2025年1月時点の情報に基づいています。システムの仕様は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。