勝てる技術提案書の書き方:評価される7つのポイント

技術提案書の重要性

総合評価方式の入札では、価格だけでなく技術提案の内容が評価されます。優れた技術提案書は、価格差を覆すほどの影響力を持ちます。本記事では、評価される技術提案書の書き方を解説します。

ポイント1:評価基準の完全理解

公告文の熟読

評価項目と配点を正確に把握することが第一歩です。

チェックポイント

  • 必須項目と加点項目の区別
  • 各項目の配点
  • 評価の観点・基準
  • ページ数制限

よくある見落とし

  • 「○○については必ず記載すること」という指示
  • 提出部数やファイル形式の指定
  • 図表のカウント方法

ポイント2:構成の工夫

理想的な構成

  1. 要約(1ページ)
    • 提案の全体像を簡潔に
    • 強みを3つに絞って記載
  2. 現状分析(20%)
    • 課題の的確な把握
    • 発注者のニーズ理解
  3. 提案内容(60%)
    • 具体的な解決策
    • 実施方法・手順
  4. 実施体制(15%)
    • 組織図
    • 責任者・担当者の明確化
  5. スケジュール(5%)
    • 工程表
    • マイルストーン

ポイント3:読みやすさの追求

ビジュアル化の技術

  • 図表の活用: 文章の3割は図表に
  • フローチャート: プロセスを視覚化
  • 比較表: 従来手法との違いを明確に
  • 写真・イラスト: 具体的なイメージ共有

レイアウトの工夫

【良い例】
┌─────────────┐
│  見出し(大きく明確に)  │
├─────────────┤
│ ・ポイント1          │
│   └ 具体的説明       │
│ ・ポイント2          │
│   └ 具体的説明       │
└─────────────┘

ポイント4:具体性と根拠

曖昧な表現を避ける

❌ 悪い例:「効率的に実施します」 ✅ 良い例:「従来比30%の時間短縮を実現します(弊社実績による)」

数値化できるものは数値化

  • 削減率、向上率
  • 実施回数、頻度
  • 体制人数、保有資格者数

根拠の明示

  • 過去の類似実績
  • 公的データの引用
  • 学術論文や統計資料

ポイント5:独自性のアピール

差別化要素の明確化

  1. 独自技術・ノウハウ
    • 特許技術
    • 自社開発システム
    • 独自の方法論
  2. 付加価値提案
    • 仕様書以上の提案
    • コスト削減案
    • リスク対策
  3. 実績の強み
    • 類似案件での成功事例
    • 表彰実績
    • 顧客満足度

ポイント6:リスク対策の記載

評価者が安心する要素

  • 想定リスクの洗い出し
  • 具体的な対策
  • 代替案の準備
  • 緊急時の体制

リスク対策の記載例

リスク:納期遅延
対策1:バッファを20%確保
対策2:協力会社との連携体制
対策3:進捗管理の見える化

ポイント7:最終チェックリスト

提出前の確認事項

  • 評価項目にすべて対応しているか
  • ページ数制限を守っているか
  • 誤字脱字はないか
  • 図表は見やすいか
  • 専門用語に説明があるか
  • 提案の一貫性があるか
  • 強みが明確に伝わるか

実例:高評価を得た提案書

某市システム開発案件(技術点90/100点)

勝因

  1. 現行システムの課題を詳細分析
  2. 段階的移行計画で リスクを最小化
  3. 運用開始後のサポート体制を明確化
  4. 費用対効果を定量的に提示

NG例:よくある失敗

  1. コピペの多用
    • 他案件の提案書の使い回し
    • 発注者名の間違い
  2. 一般論の羅列
    • 具体性のない美辞麗句
    • 教科書的な内容
  3. 読みにくい構成
    • 文字だらけ
    • 論理構成が不明確

まとめ

技術提案書は「ラブレター」です。相手(発注者)のことを深く理解し、自分たちがいかに相手にとって最適なパートナーであるかを、情熱を持って、しかし冷静に論理的に伝える必要があります。

評価者は多数の提案書を読みます。その中で印象に残り、「この会社に任せたい」と思わせる提案書を作成しましょう。