技術提案書の重要性
総合評価方式の入札では、価格だけでなく技術提案の内容が評価されます。優れた技術提案書は、価格差を覆すほどの影響力を持ちます。本記事では、評価される技術提案書の書き方を解説します。
ポイント1:評価基準の完全理解
公告文の熟読
評価項目と配点を正確に把握することが第一歩です。
チェックポイント:
- 必須項目と加点項目の区別
- 各項目の配点
- 評価の観点・基準
- ページ数制限
よくある見落とし
- 「○○については必ず記載すること」という指示
- 提出部数やファイル形式の指定
- 図表のカウント方法
ポイント2:構成の工夫
理想的な構成
- 要約(1ページ)
- 提案の全体像を簡潔に
- 強みを3つに絞って記載
- 現状分析(20%)
- 課題の的確な把握
- 発注者のニーズ理解
- 提案内容(60%)
- 具体的な解決策
- 実施方法・手順
- 実施体制(15%)
- 組織図
- 責任者・担当者の明確化
- スケジュール(5%)
- 工程表
- マイルストーン
ポイント3:読みやすさの追求
ビジュアル化の技術
- 図表の活用: 文章の3割は図表に
- フローチャート: プロセスを視覚化
- 比較表: 従来手法との違いを明確に
- 写真・イラスト: 具体的なイメージ共有
レイアウトの工夫
【良い例】
┌─────────────┐
│ 見出し(大きく明確に) │
├─────────────┤
│ ・ポイント1 │
│ └ 具体的説明 │
│ ・ポイント2 │
│ └ 具体的説明 │
└─────────────┘
ポイント4:具体性と根拠
曖昧な表現を避ける
❌ 悪い例:「効率的に実施します」 ✅ 良い例:「従来比30%の時間短縮を実現します(弊社実績による)」
数値化できるものは数値化
- 削減率、向上率
- 実施回数、頻度
- 体制人数、保有資格者数
根拠の明示
- 過去の類似実績
- 公的データの引用
- 学術論文や統計資料
ポイント5:独自性のアピール
差別化要素の明確化
- 独自技術・ノウハウ
- 特許技術
- 自社開発システム
- 独自の方法論
- 付加価値提案
- 仕様書以上の提案
- コスト削減案
- リスク対策
- 実績の強み
- 類似案件での成功事例
- 表彰実績
- 顧客満足度
ポイント6:リスク対策の記載
評価者が安心する要素
- 想定リスクの洗い出し
- 具体的な対策
- 代替案の準備
- 緊急時の体制
リスク対策の記載例
リスク:納期遅延
対策1:バッファを20%確保
対策2:協力会社との連携体制
対策3:進捗管理の見える化
ポイント7:最終チェックリスト
提出前の確認事項
- 評価項目にすべて対応しているか
- ページ数制限を守っているか
- 誤字脱字はないか
- 図表は見やすいか
- 専門用語に説明があるか
- 提案の一貫性があるか
- 強みが明確に伝わるか
実例:高評価を得た提案書
某市システム開発案件(技術点90/100点)
勝因:
- 現行システムの課題を詳細分析
- 段階的移行計画で リスクを最小化
- 運用開始後のサポート体制を明確化
- 費用対効果を定量的に提示
NG例:よくある失敗
- コピペの多用
- 他案件の提案書の使い回し
- 発注者名の間違い
- 一般論の羅列
- 具体性のない美辞麗句
- 教科書的な内容
- 読みにくい構成
- 文字だらけ
- 論理構成が不明確
まとめ
技術提案書は「ラブレター」です。相手(発注者)のことを深く理解し、自分たちがいかに相手にとって最適なパートナーであるかを、情熱を持って、しかし冷静に論理的に伝える必要があります。
評価者は多数の提案書を読みます。その中で印象に残り、「この会社に任せたい」と思わせる提案書を作成しましょう。