社労士向け入札案件!750万円規模の医療労務管理支援業務で落札を目指す入札参加ガイド

公開日: 2025年8月20日

著者: Manus AI

はじめに:社労士の新たな収益源としての公共調達

開業したばかりの社会保険労務士(社労士)にとって、安定した収益基盤を築くことは喫緊の課題です。顧問契約の獲得競争が激化する中、新たな収益の柱をどこに見出すか、頭を悩ませている方も少なくないでしょう。

その有力な選択肢の一つが「公共調達」です。国や地方自治体が発注する業務を請け負うこの市場は、これまで一部の大企業や特殊な団体だけが参入できる領域だと思われがちでした。しかし、働き方改革の推進や、医療・介護分野における労務管理の重要性の高まりを受け、社労士の専門知識を求める公共調達案件が着実に増加しています。

公共調達には、民間企業の顧問契約にはない3つの大きなメリットがあります。

  1. 安定した高収益: 一度受注すれば、契約期間中は安定した収益が見込めます。案件規模も大きく、中には年間数百万円から1,000万円を超えるものも存在します。
  2. 圧倒的な信用力: 国や自治体の業務を請け負ったという実績は、事務所の信用力を飛躍的に高め、新たな民間企業の顧客獲得にも繋がります。
  3. 社会貢献の実感: 専門性を活かして、地域の労働環境改善や社会課題の解決に直接貢献できるため、大きなやりがいを感じることができます。

この記事では、数ある公共調達案件の中でも、特に社労士にとって参入しやすく、かつ安定した収益が期待できる「医療労務管理支援事業」に焦点を当て、その全貌と具体的な参入戦略を、実際の仕様書や落札実績を交えながら徹底的に解説します。この記事を読めば、公共調達が遠い存在ではなく、明日から取り組むべき具体的な目標であることが理解できるはずです。

主要案件「医療労務管理支援事業」とは?

「医療労務管理支援事業」とは、主に厚生労働省の各都道府県労働局が発注する事業です。その目的は、医師や看護師など、長時間労働や不規則な勤務形態が常態化しやすい医療機関に対し、専門家である社労士が労務管理に関する支援を行うことで、医療従事者の労働環境を改善し、地域医療の質の維持・向上に貢献することにあります。

なぜこの案件が、開業間もない社労士にとっても特に魅力的なのでしょうか?その理由は、以下の3点に集約されます。

  1. 高い専門性の合致: 医療業界の労務管理は、医師の働き方改革(2024年4月からの時間外労働上限規制適用)や、同一労働同一賃金、ハラスメント対策など、高度な専門知識が求められる分野です。これはまさに社労士の独壇場であり、他の専門家との差別化が図りやすい領域です。
  2. 社会的な需要の高さ: 医療従事者の労働環境改善は、国の重要政策課題の一つです。そのため、この事業は継続的に全国の労働局で発注される傾向にあり、一度ノウハウを蓄積すれば、長期的に安定した受注が見込めます。
  3. 協同組合による受注実績: 後述しますが、この種の案件は個人の社労士事務所ではなく、「社労士協同組合」が受注しているケースが多く見られます。これは、開業したての社労士でも、他の社労士と連携(JV:共同企業体)することで、大規模な案件に参入できる可能性を示唆しています。

具体的な業務内容は、主に以下の3つで構成されます。

  • 医療労務管理相談コーナーの設置・運営: 労働局内に相談窓口を設け、医療機関の管理者や職員からの労務に関する相談に対応します。
  • セミナー・研修会の開催: 医療機関を対象に、最新の法改正や労務管理のポイントに関するセミナーを企画・実施します。
  • 個別訪問支援: 特に課題を抱える医療機関を直接訪問し、就業規則の見直しや労働時間管理の適正化など、具体的な改善指導を行います。

【実績公開】750万円規模の落札実績を徹底分析

論より証拠。まずは実際の落札実績を見てみましょう。ここでは、入札情報サービス「nSearch」で公開されている長野労働局の「医療労務管理支援事業委託」に関する過去3年間の落札結果をご紹介します。

契約年度落札会社落札金額(税込)予定価格(税込)契約日
令和5年度ながの社労士協同組合7,500,000円10,300,158円2023年4月3日
令和3年度ながの社労士協同組合8,500,000円-2021年4月1日
令和2年度ながの社労士協同組合6,500,000円-2020年6月1日

(出典:nSearch

この実績から、以下の3つの重要なポイントが読み取れます。

  1. 安定した案件規模: 落札金額は年間650万円から850万円と、非常に安定した規模で推移しています。特に令和5年度は、予定価格が1,000万円を超えており、極めて収益性の高い案件であることがわかります。
  2. 協同組合による継続受注: 3年連続で「ながの社労士協同組合」が落札しています。これは、一度実績と信頼を勝ち取れば、複数年度にわたって安定的に受注できる可能性が高いことを示しています。個人の事務所では難しい大規模案件も、社労士同士が協同組合を設立して連携することで、十分に受注可能圏内に入ることの証明です。
  3. 一般競争入札: 入札方式が「一般競争入札」である点も重要です。これは、特定の業者を指名するのではなく、参加資格を満たせば誰でも応札のチャンスがあることを意味します。新規参入の障壁が比較的低いと言えるでしょう。

【仕様書解説】実際の公告から読み解く業務内容と参加資格

では、具体的にどのような業務が求められ、どのような資格が必要なのでしょうか。nSearchで公開されている長野労働局の案件情報を見てみましょう。

長野労働局 医療労務管理支援事業委託の案件詳細

この公告内容から、業務内容と参加資格の要点を解説します。

主な業務内容

仕様書には、主に以下のような業務が記載されていると想定されます。

  • 医療労務管理相談コーナーの運営: 専門の相談員(社労士)を配置し、電話や対面での相談に対応。
  • セミナーの企画・実施: 医療機関の管理者向けに、働き方改革関連法や労務管理に関するセミナーを年数回実施。
  • 個別訪問指導: 課題を抱える医療機関を訪問し、就業規則の改定支援、労働時間管理のコンサルティングなどを実施。
  • 広報活動: 事業内容を地域の医療機関に周知するための広報活動。
  • 実績報告: 事業の実施状況や成果を定期的に労働局に報告。

求められる参加資格と体制

公告からは、主に以下のような参加資格や体制が求められることが読み取れます。

  • 社会保険労務士または社会保険労務士法人: 当然ながら、社労士資格が必須です。
  • 複数名の相談員: 相談コーナーの運営や個別訪問に対応するため、複数名の社労士がチームを組む必要があります。
  • 事務局機能: 事業全体の進捗管理、経理処理、労働局への報告などを行う事務局機能が求められます。
  • 地域における実績: 長野県内の医療機関の状況に精通していることや、過去の類似業務の実績が求められる可能性があります。

これらの要件を見ると、個人の事務所単独で応札するのはハードルが高いと感じるかもしれません。だからこそ、「社労士協同組合」の設立や、既存の組合への加入が極めて有効な戦略となるのです。

公共調達参入への4ステップ・ロードマップ

では、開業間もない社労士が、このような魅力的な公共調達案件を獲得するためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。明日から始められる4つのステップをご紹介します。

Step 1: 徹底的な情報収集

まずは、どのような案件があるのかを知ることから始めます。

  • 調達ポータル(GEPS): 全国の官公庁の入札情報が無料で閲覧できます。まずはここでキーワード「社労士」「労働」などで検索してみましょう。
  • nSearchなどの有料入札情報サイト: 過去の落札実績や予定価格など、より詳細な分析が可能です。無料トライアルなどを活用して、自分の地域にどのような案件があるかを確認しましょう。
  • 都道府県労働局のウェブサイト: 「調達情報」のページを定期的にチェックします。

Step 2: 資格・体制の準備

案件の仕様書を読み込み、求められる資格や体制を整えます。

  • 仲間を探す: 一人で全てをこなすのは困難です。地域の社労士会や勉強会に積極的に参加し、公共調達に共同で取り組む仲間を見つけましょう。
  • 協同組合の設立・加入を検討: 安定的に受注を目指すなら、協同組合の設立は非常に有効です。設立には手間がかかりますが、信用力や組織力が格段に向上します。既存の組合に加入するのも良いでしょう。

Step 3: 小さな実績作り

いきなり大規模案件を狙うのではなく、まずは小さな実績を積み重ねます。

  • セミナー講師: 自治体や商工会議所が主催するセミナーの講師を務めることで、公的な場での実績を作ります。
  • 小規模な相談業務: 自治体の無料相談窓口の相談員など、単発でも良いので公的な業務経験を積みます。

Step 4: 提案・応札

満を持して応札に臨みます。

  • 仕様書を完璧に理解する: 求められている業務内容、成果物、体制を完璧に理解し、漏れなく対応できる提案書を作成します。
  • 価格設定: 過去の落札実績を参考に、適正な価格を算出します。安すぎても高すぎても落札は難しくなります。
  • 共同企業体(JV)での応札: 仲間と共同企業体を組んで応札することで、体制面での評価を高めることができます。

まとめ:行動する社労士が、安定した未来を掴む

公共調達は、もはや一部の特別な事業者のための市場ではありません。社会的な需要が高まり、門戸が広く開かれている今、専門性を活かして社会に貢献しながら、安定した収益基盤を築く絶好のチャンスです。

特に「医療労務管理支援事業」は、社労士の専門性と社会のニーズが合致した、極めて魅力的な案件です。この記事で紹介したように、750万円を超える規模の案件が、協同組合によって継続的に受注されています。

成功の鍵は、「連携」と「行動」です。一人で抱え込まず、地域の社労士仲間と連携し、まずは情報収集という第一歩を踏み出してみてください。その小さな一歩が、あなたの事務所の未来を大きく切り拓くことになるはずです。

動画で学ぶ

入札の基本を分かりやすく動画で解説しています。初心者の方にもおすすめです。

約16分 初心者向け
今すぐ動画を見る

入札参加資格でお困りですか?

行政書士が申請から取得まで完全サポート。まずは無料相談でお気軽にご相談ください。

無料相談を申し込む