随意契約とは?要件・手続き・注意点を詳しく解説

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随意契約の
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適用要件から手続きまで、行政書士が分かりやすく解説

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法的根拠に基づく正確な解説
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競争入札との違いを明確化
実務で使える具体的な情報

随意契約とは

随意契約とは、競争の方法によらないで、発注者が任意に選定した特定の者と締結する契約のことです。

基本的な考え方

  • 地方自治法第234条第2項により規定
  • 例外的な契約方式(原則は競争入札)
  • 厳格な要件のもとでのみ適用可能

随意契約が認められる場合

1. 少額随意契約

予定価格が一定額以下の場合

※2025年4月1日から約半世紀ぶりに基準額が引き上げられました。

国の場合(2025年4月1日施行)

| 契約の種類 | 新基準額 | 旧基準額 | |————|———-|———-| | 工事又は製造の請負 | 400万円以下 | 250万円以下 | | 財産の買入れ | 300万円以下 | 160万円以下 | | 物件の借入れ | 150万円以下 | 80万円以下 | | 財産の売払い | 100万円以下 | 50万円以下 | | 物件の貸付け | 50万円以下 | 30万円以下 | | その他 | 200万円以下 | 100万円以下 |

地方公共団体の場合(地方自治法施行令別表第5)

都道府県・政令指定都市 | 契約の種類 | 基準額上限 | |————|———–| | 工事又は製造の請負 | 400万円 | | 財産の買入れ | 300万円 | | 物件の借入れ | 150万円 | | 財産の売払い | 100万円 | | 物件の貸付け | 50万円 | | その他 | 200万円 |

政令市を除く市区町村 | 契約の種類 | 基準額上限 | |————|———–| | 工事又は製造の請負 | 200万円 | | 財産の買入れ | 150万円 | | 物件の借入れ | 80万円 | | 財産の売払い | 50万円 | | 物件の貸付け | 30万円 | | その他 | 100万円 |

※地方自治体は各自治体の規則で定める額(上記を上限)

2. 性質又は目的により競争に適しない場合

  • 特許権等の関係:特許、実用新案等により供給者が限定される場合
  • 学術・芸術的価値:美術品の購入、学術研究等
  • 秘密保持が必要:国家機密、企業秘密等

3. 緊急の必要により競争に付することができない場合

  • 災害対応:地震、水害等の災害復旧
  • 設備故障:インフラの緊急修理
  • 期限の制約:法定期限に間に合わない場合

4. 競争に付することが不利と認められる場合

  • 時価に比べて著しく有利:市場価格より大幅に安い場合
  • 既存システムとの整合性:システムの追加開発等
  • 技術的な継続性:保守・メンテナンス契約等

5. 不調・不落の場合

  • 入札参加者なし:応札者がいない場合
  • 予定価格超過:すべての入札が予定価格を超えた場合

随意契約の手続きの流れ

Step 1: 要件確認

✅ 随意契約の要件に該当するか検証
✅ 適用根拠の明確化
✅ 必要性・相当性の検討

Step 2: 相手方の選定

✅ 契約の相手方の選定基準設定
✅ 見積書の徴収(原則2者以上)
✅ 価格の妥当性検証

Step 3: 契約締結

✅ 契約書の作成
✅ 随意契約理由書の作成
✅ 決裁手続き

Step 4: 公表

✅ 契約内容の公表(一定額以上)
✅ 随意契約理由の公表
✅ 透明性の確保

競争入札との違い

項目 競争入札 随意契約
基本原則 原則的な契約方式 例外的な契約方式
透明性 高い 制限的
競争性 複数者による競争 限定的または無競争
手続き 公告、入札、開札 見積徴収、選定
適用要件 制限なし 厳格な要件
説明責任 一般的 より重い

注意すべきポイント

⚠️ 適用要件の厳格性

  • 随意契約は例外的措置
  • 要件に該当しない場合は違法
  • 恣意的な運用は禁止

⚠️ 透明性の確保

  • 契約相手方選定の公正性
  • 価格の妥当性証明
  • 理由の明確な説明

⚠️ 競争性の確保

  • 可能な限り複数者から見積徴収
  • 価格交渉の適切な実施
  • 独占的な関係の回避

よくある質問

Q1: 少額随契でも見積は必要ですか?

A1: はい、原則として複数者から見積を徴収します。ただし、以下の場合は1者でも可能です:

  • 供給可能な業者が1者のみの場合
  • 緊急性により複数者からの徴収が困難な場合

Q2: 随意契約の上限額は変更されますか?

A2: 2025年4月1日に約半世紀ぶりに改正されました。物価高騰を背景に、国の工事・製造の請負は250万円から400万円に、財産の買入れは160万円から300万円に引き上げられました。地方自治体も同様の基準が適用されますが、各自治体の規則で定める必要があります。

Q3: 入札が不調になった場合、すぐに随意契約できますか?

A3: 不調の原因を分析し、適切な対応を検討する必要があります。設計の見直し、予定価格の検討等を行った上で随意契約を検討します。

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まとめ

随意契約は公共調達における重要な契約方式ですが、例外的な措置であることを十分理解する必要があります。

重要なポイント

  1. 厳格な要件確認が必須
  2. 透明性・公正性の確保
  3. 適切な価格設定
  4. 説明責任の履行

随意契約に関するご質問や具体的な手続きサポートが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

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